Soweto Gospel Choir

“Blessed” ライナーノーツ

1. Shewane (→ シェワネの意味不明)
ソウェト・ゴスペル・クワイア音楽監督のDavid Mulovhedziによるオリジナル曲。アルバムのオープニングにふさわしい、ソウェト・ゴスペルクワイアのテーマ曲のような、明るい歌です。

2. Asimbonanga / Biko (私たちは見なかった / ビコ) 南アのアパルトヘイト撤廃に尽力した二人の活動家ネルソン・マンデラ氏と、スティーブ・ビコ氏のことを歌った2曲のメドレーです。1991年ノーベル平和賞を受賞し、1994年には黒人として初めて南アフリカの大統領に就任したマンデラ氏は、反アパルトヘイト運動の中心人物として38年間も投獄された過去があります。またスティーブ・ビコ氏(後に、映画「遠い夜明け」(1987年)の主人公として描かれました)は、1977年(ソウェト蜂起が起こった1976年の翌年)獄中で非業の拷問死をとげました。
前半の「Asimbonanga(私たちは見なかった)」では、「我々はマンデラを長いこと見なかった。彼がどこにいるのかも知らされず。いつになったら、我々は目的地に着けるのだろうか・・・」と歌い、後半の「Biko」(英国のミュージシャン、ピーター・ガブリエルによる追悼歌「Biko」の一部分)では、「ロウソクを吹き消しても、炎を吹き消すことはできない。ひとたび炎が風を受ければ、火炎は舞い上がる。おおビコ!ビコ・・その男は死んだ。」と、彼の死後も反アパルトヘイトの炎が燃え上がることを歌っています。

3. Joko Yahao (あなたの荷は軽い)
クリスチャンの方なら、このメロディーには馴染みがあるかもしれません。「讃美歌21」200番にも「小さいひつじが(The Good Shepherd)」という題で載っている有名な讃美歌で、また子ども讃美歌としても、各国で歌われています。今回はこのメロディーの上に、全く新しい歌詞をのせ、聖書の「疲れた者、重荷を負うものは、だれでもわたしのもとに来なさい。休ませてあげよう」ということばを思い起こさせます。
(歌詞大意)あなたの荷は軽い。そのことが心を軽やかにする。私の信仰は、私の盾となり、それが私を死から救う。私は主の道の中に幸せを見つけた。敵どもはすでに逃げ散った。主は私のために、敵を打ち負かして下さったのだ。期待に胸膨らませ、私は天国を信じる。たとえ私が疲れ果てても、主が私を天に導いてくださる。

4. A Place In Heaven (天国にある場所)
音楽監督のDavid Mulovhedziによるオリジナル曲。神と天国の喜びを、シンプルな歌詞と美しいハーモニーで輝くばかりに歌っています。
(歌詞大意)天国には私の居場所があるだろうか?天国は主が王であるところ。天国では、主よ!あなたが私の救い主、私の王、私の神。天国では天使たちがハレルヤと歌う。主よ!あなたが私の救い主、私の王、私の神。

5. 題名のNjaloとは、コーサ語で、and so it goes であり、「そうなる。」「物事はなるようになる・・・」の意。

 

6. I Bid You Goodnight (僕は君に、永遠のおやすみを告げる)
米国トラディショナル曲のため、シンガーによって歌詞に多少のばらつきがありますが、アーロン・ネヴィルなど、多くのシンガーによってカヴァーされている名曲。亡くなった友人への哀悼の歌です。
(歌詞大意)私の愛する友(ブラザー)よ、その身を横たえ、安らかに眠りたまえ。僕は君の頭を、救い主の御胸に抱かせる。僕は君のことを愛している。でも君のことを一番愛してくれているのはイエス様だ。だから僕はただ君に「おやすみ」と、別れを告げるよ。

7. Lelilungelo Ngelakho
ズールー語のトラディショナル曲。歌詞冒頭のEmaweni とは、谷の中での意味。
(歌詞大意)私たちは谷の中で眠る。友よ。これがあなたの信念だ。何もわかってない人間は、自分がわかっていると思っているし、わかっている人間は、ただひたすら正しいことをするのさ。

8. Oh Happy Day (オー・ハッピー・デー)
ゴスペルの名曲中の名曲。おそらく日本のほとんどのゴスペルクワイアが、この歌をレパートリーに入れているのではないでしょうか?オリジナルは、The Edwin Hawkins Singers(1967年)のヒット曲で、当時、全米シングル盤ビルボードチャートの4位まで上昇、ゴスペル初のミリオンセラーになりました。さらに映画『天使にラブソングを2』でも歌われたことで、一気に日本での知名度もあがりました。
(歌詞大意)幸せな日 なんて幸せな日 イエス様が私の罪を、すべて洗い清めてくださった。すべてイエス様が教えて下さった。ものの見方も、闘い方も、祈り方も。そして私たちは喜びに満ちて日々を送るのだ。

9. Noyana (あなたは行くのか?)
ミュージカル『ライオン・キング』でも歌われた1曲。
(歌詞大意)私たちは正しき声が導く道の途中。平和に暮す人々が、家(天国)に向かう。あなた方の中で、ある者はその罪ゆえに神の目には異なってみえる。あなたは何と言うつもり?あなたは行くの?あなたは行くのか天国へ?あなたはたどり着けるだろうか?

 

10. Masigiye'bo (みんなで踊ろう)
アフリカン・ゴスペルの特徴として、悲しい歌詞の内容でも、驚くほどそのメロディーが明るいものものがたくさんあります。この歌はゴスペルではありませんが、まだまだ貧困に苦しむ人が多いソウェト区での生活を、歌で明るく鼓舞しています。この明るさこそが彼らの真骨頂と言えるかもしれません。
(歌詞大意)ソウェトでの生活は最高さ。だって僕たちは愛と平和の中でくらしてる。だから喜びの中で、さあみんなで踊ろう。

11. Swing Down (馬車よ揺れよ)
アメリカの黒人霊歌(スピリチュアル)です。同じく黒人霊歌で、よく似た歌詞のSwing low, sweet chariot(やさしく揺れよ、美しき馬車)という有名な曲があります。それとは異なって、本曲は明るい曲調です。chariot(チャリオット)とは、戦闘用の馬車のこと。旧約聖書の列王記で、預言者エリヤが火の戦車に乗って天に昇っていくことから、天国へと連れていってくれる馬車の意味があります。歌のモチーフは2曲とも同じで、黒人達が自分たちの境遇を嘆いて、私を馬車に乗せて天国へ連れていってくれと歌っています。
(歌詞大意)さあチャリオットを揺らせ、走らせろ。私を乗せてくれ。揺れよチャリオット。止まって私を乗せておくれ。神よ!私を揺らしてください。やさしくゆっくりと。ほら、もう向こう岸の天国までたどり着いた!

12. Weeping (嘆きの涙)
まだアパルトヘイトの残る1980年代の半ばに、南ア出身の白人音楽家Dan Heymannによって作詞作曲された、アパルトヘイトへのプロテストソング(詳細:http://www.weeping.info/index.html)。1人の男性をストーリー仕立てにすることによって、アパルトヘイトを暗に批判しました。1986年に「Place of Weeping(嘆きの地)」という南アのアパルトヘイトを描いた映画があったように、weeping(涙を流して泣く)は、アパルトヘイトへのやり場のない悲しみを表しています。 多くのカヴァーがありますが、近年カナダの人気男性ヴォーカリスト、ジョシュ・グローバンが、南アフリカ・ゴスペルグループの、レディスミス・ブラック・マンバーゾと一緒に歌ったものもあります。

13. Thapelo (祈り)
新約聖書のマルコ伝中の「ダビデの子に、ホサナ。主の名によって来る者に、祝福。いと高き所に、ホサナ」をベースにした歌。ホサナ(ホザナ)とはアラム語「ホーシャナー」のギリシア語音写で「救いたまえ」の意。
(歌詞大意)私たちの祈りの中で、わたちたちはホサナと歌おう。ホサナ!いと高きところの父へ。

14. Woza Meli Wami (救い主よ、私の元においでください)
ズールー語のトラディショナル曲。
(歌詞大意)救い主よ、おいでください。救い主よ。私の元にどうかおいでください。私の荷は重すぎて、まるで岩のようなのです。

15. Mbube (The lion sleeps tonight ライオンは今夜寝ている)
♪ライオンは寝ているという題名で、アメリカでもキッズソングとして、よく知られている曲です。ミュージカル「ライオンキング」の中でも歌われているので、ご存じの方も多いでしょう。
(歌詞大意)ジャングルの中、うっそうとしたジャングルの中、ライオンは今夜、寝ている。シーッ!ダーリン、こわがらないで。ライオンは今夜寝ているから。

16. Tshepa Thapelo (祈りに依り頼め)
ソト語のトラディショナル曲。
(歌詞大意)朝、あなたが起きるとき、夜、あなたが眠るとき、祈りの力を信じなさい。たとえあなたが困難の中にいて、闇を歩いているとしても。あなたの信仰を祈りに込めなさい。あなたが幸せな時でも、祈りなさい。喜びに満ちていている時も、祈りなさい。あなたがどこにいても、そしていつでも。祈りを信じなさい。神への祈りを信じなさい。

17. Khumbaya (クンバヤ)
Khumbaya(クンバヤ通常はkunbayaと表記)とは、すなわちCome by here(カムバイヒア=そばに来てください。)という英語の、アメリカにおけるガラ語(サウスカロライナ州とジョージア州の群島・沿岸地域に住むアフリカ系アメリカ人のガラ人によって話される)なまり。♪Kumbaya の歌自体は、もともとはガラ語圏で、1920年代から歌われたスピリチュアルで、1950年代にはフォークソングのようにヒットしたアメリカではかなり有名な歌です。クンバヤといえば、男性ゴスペルシンガーのカート・カー(Kurt Carr)が大胆にアレンジしたビートのきいたクンバヤが有名で、日本でも多くのクワイアが歌っています。ソウェト・ゴスペル・クワイアのバージョンでは、一般に流布しているクンバヤとはメロディーを変えて、さらにアフリカ色を出しています。

18. Nkosi Sikelel'iAfrika (South African National Anthem) 南アフリカ共和国国歌
誰もが絶賛するこの南アフリカ共和国国歌は、アパルトヘイト廃止後、1997年にマンデラ氏が大統領令として制定したものです。南アフリカには11の公用語がありますが、この国歌にはズールー語・コーサ語・ソト語・アフリカーンス語・英語が使われています。冒頭の「神よ、アフリカに祝福を」の部分は、黒人解放運動を象徴する讃美歌であり、アフリカーンス語で歌われているのは、アパルトヘイト時代の国歌「南アフリカの叫び」。民族融合の象徴として、これら複数の曲を組み合わせて国歌としました。過去の歴史を乗り越えて、未来へと向かう南アフリカの祈りながら聴きたい一曲です。

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